すぐわかる画家別抽象絵画の見かた
- 価格
- 2,200円(税込)
- 刊行
- 2005年11月
- ISBN
- 9784808707774
- Cコード
- 0071
- 判型
- A5
- ページ数
- 144
内容
■西洋絵画を写実から解放し、線や色彩などの造形要素を使って画家は何を表現しようとしたのか-具象から抽象に移っていく過程をふまえ、年代順・画家別に紹介。
■わかりにくい抽象絵画の楽しみ方を要点を押さえて解説した入門書。伝統的な表現法を放棄し、新しい考え方に基づいた作品をどう見たらよいか、「わかる」ための鑑賞のポイントを提供。20世紀初頭から現代まで、人気の抽象画家49人の表現の謎を解き明かす。
■セザンヌ/ピカソ/カンディンスキー/モンドリアン/ピカビア/クレー/ミロ/フォンタナ/ポロック/イヴ・クライン/山口長男ほか
目次
第1章 抽象絵画の出発点
ゴーガン 対象を頭に思い浮かべることで、その不動のかたちを取り出す
セザンヌ 目に見える世界全体を立体的な図形としてとらえなおす
ブラック 山のある風景を立方体(キューブ)の集積した静物として見直す
ピカソ 人や事物を手でこねまわすように様々な角度から見て、まとめる
レジェ 断片化された人や事物に色の対比を与えることでスピード感を表現
第2章 抽象絵画の開拓者たち
カンディンスキー 対象の再現を否定して、充実した色とかたちのみで象徴的に表現
クプカ 運動や音楽を表すために色とかたちを自在に用いる
バッラ 線と色彩を錯綜させ、運動とエネルギーを現代的に表現する
モンドリアン 世界全体を水平線と垂直線、基本的な色彩に圧縮する
マレーヴィチ 三次元を二次元に封じ込めた画面を跳躍台にして四次元をめざす
ピカビア 芸術とは無縁に思える機械にクールな美しさを見出す
ホフマン 幾何学的な色面の前進、後退により画面に空間と生気をもたらす
ラリオーノフ 光線のような色彩の束を交差させ、四次元の現出を図る
エルバン 幾何学的な図形と単純な色彩をアルファベットにように扱う
ドゥースブルフ 水平線と垂直線の不動の構図に対角線を持ち込み動感を表現
ドローネー 世界全体をプリズムのような光で解体し、再構成する
リシツキー 幾何学的な断片をバランスよく結びつけ、建築的な空間を演出
ロトチェンコ 定規とコンパスだけで造形し、黒と白の表現にこだわる
第3章 戦後の抽象絵画
クレー 「目に見えないもの」を見えるようにすることで芸術の神秘を想う
アルプ 木とも花とも違う有機的なかたちを「具体的なもの」と主張
オキーフ 花そのものを徹底的に体験し、生命感にとんだヴィジョンを生む
アルバース 色も寸法も異なる正方形を重ねることで、世界の奥深さを表現
ミロ 無意識界に眠るイメージを記号化することで宇宙の神秘を表現
フォートリエ 絵の具を重苦しく塗り重ねることで、20世紀の人間の苦悩を表現
フォンタナ 単色のカンヴァスを切り裂くことで、永遠と無限を引き出す
デュヴュッフェ 子どもや心を病んだ人たちの、生命力溢れる絵に芸術の原点を探る
ロスコ 夕焼け雲のような、にじんだ色面を重ねることで現代の憂愁を表現
アルトゥング 瞬発力にとんだ描線で世界の深淵を一気呵成に現出させる
ゴーキー 動物や植物に独特の変形を施すことで、悲劇的な気分を漂わせる
スティル 荒涼たる大地のような色面の広がりで、現代芸術の孤高を表現
ニューマン 天地を裂くような細い色帯(ジップ)により、独特の崇高感を表現
ポリアコフ 円、四角、三角を組み合わせ、イコンのよな深い宗教性を表現
ヴァザルリ 錯視を駆使して凹凸のある空間を生み出し、宇宙的な感覚を演出
ボロック 恍惚状態のシャーマンのように、激しい身振りで絵の具を振りまく
ルイス カンヴァスに薄く溶いた絵の具を流し、しみ込ませるだけで絵になる
ラインハート 世界全体を黒1色の中に封じ込め、絶対不動の絵画を実現
スタール ありふれた外観の奥底にあるものを澄明な色彩で抒情的に表現
スーラージュ 現実の背後にある何か不気味なものを、黒く骨太い線で構築
フランシス 感情の発露のような彩色に余白の美を取り入れ、自然をまばゆく表現
クライン もっとも宇宙的な色彩、青に集中することで物質を超える
フランケンサーラー 薄く溶いた絵の具をカンヴァスにしみ込ませ、自然を再創造する
リヒター 映像と絵画の関係を徹底的に吟味することで、絵画の活性化を図る
ステラ 感情を排したかのような黒1色の画面で、かえって感情を生みだす
山口長男 大地を思わせる黄土色の広がりに人の営みの全てを封印する
オノサト・トシノブ 円と正方形を錯視的に構成することで現代の曼荼羅を生みだす
山田正亮 移ろう世界を精妙な横縞(ストライプ)に置換することで永遠を表現
用語解説