もっと知りたいルネ・ラリック
- 価格
- 1,760円(税込)
- 刊行
- 2009年05月
- ISBN
- 9784808708344
- Cコード
- 0072
- 判型
- B5
- ページ数
- 80
内容
アール・ヌーヴォーからアール・デコへ
宝飾とガラス2つのジャンルで
両時代に君臨した鬼才の、
幻想的美の小宇宙。
■日本ではガラス作家としてよく知られているルネ・ラリックは、モダン・ジュエリーの創始者として他の追随を許さない天才ジュエラーでもあった。19世紀末から20世紀初頭にかけてアール・ヌーヴォーの宝飾デザイナーとして一世を風靡したのち、ガラス工芸に転じ、さまざまな技法を駆使した洗練されたフォルムでアール・デコの巨匠にのぼりつめた。
■本書は、アール・ヌーヴォーとアール・デコ2つの時代において装飾芸術の第一人者であり続けた希有の作家を三期に分けて紹介。奇抜な発想と精緻な技法が融合した独創的ジュエリーと、小は香水瓶から大は噴水塔のような巨大オブジェまで透過する光の特性をさまざまに生かしたガラスデザイン、両分野の傑作が楽しめる。
目次
はじめに
ジュエリーとガラスに共通する ラリック-造形の秘密
第1章 宝飾デザイナーの時代
伝統的なスタイルの初期作品
豊かな色彩をまとった宝飾品の誕生
真の芸術へと昇華していったジュエリー
見る者の心に沁みとおるフォルム
綜合デザイナーへの道を意識した活動
【Topics】
名女優サラ・ベルナールとラリックの交流
ラリックとグルベンキアン
-芸術家とパトロンの理想的関係
● Special Focus
ラリックとジャポニスム
第2章 産業芸術家への道
絶頂期にしのびよる陰り
多様化する製品群
クリアに輝く世界への扉を開く
ジュエラー時代のガラス作品
【Topics】
アザミの花とフランス人
第3章 ガラス・デザイナーの時代
生涯を貫いた「彫刻的」作風
古さを新鮮さに変えるレトロな感覚
【Topics】
息を呑む美しい照明器具の秘密-宝石加工との関連
アール・デコ時代の造形
● Special Focus
シール・ペルデュ技法による一品制作
オパルセント・ガラスの魅力
まっすぐな一筋の道-ラリックの創作人生
ラリックのジュエリー 主要技法
ラリックのガラス 主要技法
Column
宝飾品の三つのジャンル
ボタニカル・アートから導き出されたインスピレーション
ガラスという素材への自信
富裕層の好みに合わなくなったラリックのジュエリー
コルセットからの解放によって激変したファッション
人生の美食家ラリック
珍品を求めるコレクター心理と紫色のガラス
著者プロフィール
1954年神奈川県生まれ。東京教育大学教育学部芸術学科卒業。筑波大学大学院芸術学研究科博士課程単位取得退学。武蔵野美術大学、玉川学園女子短期大学、東京歯科大学、筑波大学非常勤講師等も務めながら、北澤美術館学芸部長、黒壁美術館館長、長浜アートセンター館長、(株)黒壁取締役・執行役員等を歴任。美術史家。主な著書に、『信州の美術館』(保育社)、『光の魔術師―エミール・ガレ』(小学館)、『もっと知りたい エミール・ガレ』『もっと知りたい ルネ・ラリック』(ともに東京美術)等、監修・執筆に、『アール・ヌーヴォーのガラス―北澤美術館コレクション』(光村推古書院)、『ポーラ美術館名作選―エミール・ガレとアール・ヌーヴォーのガラス工芸』(ポーラ美術館)、『岡田美術館所蔵ガラス工芸の精華―ガレとドームの世界』等、ほか、『アール・ヌーヴォーとアール・デコ―蘇る黄金時代』(小学館)、『NHK美の壷―アール・ヌーヴォーのガラス』(NHK出版)、『ヤマザキマザック美術館―工藝』等寄稿多数。