もっと知りたい酒井抱一

玉蟲 敏子 著

価格
1,760円(税込)
刊行
2008年09月
ISBN
9784808708528
Cコード
0071
判型
B5
ページ数
80

内容

■宗達・光琳に続きながらも、洒脱で都会的な作風を持ち、優美艶麗な気品あふれる独自の画境を確立した江戸琳派の巨匠抱一。近年ようやく美術史的評価がきかれるようになってきた抱一について、文化的・社会的な背景を踏まえ、一門の画業も含め多角的かつ平明に浮きぼりにし、実像に肉迫したのが本書。
■抱一の表現活動において俳諧は重要であり、色や形で表された絵画の背後には文学的イメージが広がっており、その二重性が抱一の個性であり、魅力となっていることも解明。
■抱一の弟子の鈴木其一もとりあげ、自由奔放でいて明晰な造形性をもつ代表的作品を紹介。

目次

はじめに
大江戸の遊歩者、抱一
序章
伝わる水脈、広がる沃野
抱一の活動とその背景
 コラム1 絵入り俳書がむすぶネットワーク
第一章--酒井家時代
兄の文化サロンで育まれる才能
兄、宗雅のプロ並みの書画
 コラム2 大名と俳諧
抱一の画業の開始-浮世絵
 コラム3 歌川豊春の多面性
特集1◎遊びの文芸、狂歌・戯作に登場する抱一
第二章--隅田川河畔へ
光琳・乾山風草花絵のはじまり
 コラム4 自筆句稿『軽挙館句藻』の開始
 コラム5 不本意な出家とその理由
特集1◎江戸と上方の光琳風継承
第三章--鶯の里
多彩なプロジェクトの展開
 コラム6 抱一の雅号の意味
女性文人の活躍-抱一と小鸞の場合
 コラム7 抱一をめぐる女性たち
抱一の麗しい仏画
特集1◎光琳百年忌の記念事業
光琳へのアプローチ1 銀地の発見
光琳へのアプローチ2 デザインへの転用
抱一の関わった人々
第四章--雨華菴の上人
円熟の日々、充実の作画
抱一の美学1「四季花鳥図巻」を中心に
「絵手鑑」の語るもの
◆抱一の多面性1 若冲と抱一
◆抱一の多面性2 細密描写に挑む
◆抱一の多面性3 名所・景物
◆抱一の多面性4 王朝美への憧れ
抱一の美学2「夏秋草図屏風」を中心に
 コラム8 注文主、一橋治濟
 コラム9 文政四年の大旱魃
◆美意識の解析1 可憐な草花の愁い
◆美意識の解析2 細工的な表現
◆美意識の解析3 時間の推移の表現
◆美意識の解析4 月光の表現-水墨から銀地へ
◆美意識の解析5 絵合せの趣向
◆美意識の解析6 会心作に込めた思い
 コラム10 抱一と玉助
第五章--大江戸の花鳥賛歌
競演 十二か月花鳥図
【白梅・紅椿・鶯グループ】
 コラム11 失われた抱一画
【朝日・白椿グループ】
 コラム12 抱一画房の繁栄
 コラム13 化政期の園芸趣味と新梅屋敷
第六章--鈴木其一と弟子の活動
逸材、其一の眼-伝統の変革者
幻想性の追求
 コラム14 旅する其一
デザインと趣向1 蒔絵硯箱と屏風絵の交流
対決 其一と抱一
 コラム15 其一の住居
デザインと趣向2 絵のなかの絵
 コラム16 池田孤邨と出版物
おわりに
抱一・其一に出会える【美術館・博物館・コレクション】

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