もっと知りたいマネ

高橋明也 著

価格
1,980円(税込)
刊行
2010年02月
ISBN
9784808708672
Cコード
0071
判型
B5
ページ数
80

内容

□西欧の美術を根本から変革した近代の立役者の一人、マネ。その横顔は気さくで快活、誰もが好きにならずにいられない洗練されたパリジャン、そして画壇屈指の人騒がせな男でもあった。変貌著しいパリに生きた51年の生涯を辿る。
□シンプルな構図や色彩、強烈なレアリスムなど、当時世間に強い拒否反応を巻き起こした表現に迫り、マネの作品の斬新さとは何かを探る。
□都市生活の一瞬を切り取る非凡な才能や、今なおモダンな輝きを失わない感性・技術はどう養われたのか。マネが熱心に学び刺激を受けた伝統絵画、スペインや日本など異文化の影響、文学などとも関連づけつつ、その秘密に迫る。

目次

序文:モデルニテ(近代性)の具現者マネ
プロローグ-誕生、そして少年時代(1832-1849★0-17歳)
■マネ家の人々
   ●もっと知りたい(1) オスマンのパリ改造計画─マネの生きた第二帝政期のパリ

1章-画家としての出発 1850-1862 18-30歳
 シュザンヌとの恋──画家を支え続けた気丈な妻の愛
 初のサロン入選──落選の悔しさから生まれた入選作
 スペインへの憧れ──直感と想像力によって育まれたスペイン趣味
 華やかな世界に生きる画家が見たパリの光と影
 もっと知りたい(2) マネが描いた妻の肖像
 もっと知りたい(3) 新しいインスピレーションの源泉──マネのモティーフ・ソースはどこから来たか-
 コラム(1) つくられたサロンの権威
 コラム(2) マネとボードレール

2章-落選者から革命家へ(1863-1866★31-34歳)
 パリの高級娼婦
 消された背景──ベラスケスから学んだ斬新な背景処理
 もっと知りたい(4) 《草上の昼食》に秘められた謎を解く──19世紀フランス画壇最大のスキャンダル
 もっと知りたい(5) マネのアトリエを訪ねて──活気ある新興地区にアトリエを構えたマネ
 コラム(3) ルーヴル入りしたマネの娼婦
 コラム(4) 若き芸術家が集まったマネのアトリエ

3章-パリの近代を見つめて(1867-1873★35-41歳)
 ブーローニュの夏の輝き──ブルジョワ出身のマネが描いた避暑地の光
 マネとナポレオン3世──ナポレオン3世への批判的立場を表明する
 普仏戦争とパリ・コミューン──1870-71年、暗黒のフランス
 近代パリのヒロインたち──女性たちの姿を通して描いた「時代の美」
 パリの劇場空間──劇場を舞台に描かれた社会の縮図
 二人のパリジャン、マネとドガ
 もっと知りたい(6) マネが愛した二人のモデル兼画家──ベルト・モリゾとヴィクトリーヌ・ムーラン
 もっと知りたい(7) マネの生きた19世紀のパリモード
 コラム(5) フランス人のヴァカンスの始まり
 コラム(6) 普仏戦争と画家たち
 コラム(7) 「恐怖の年」を読み解くキーワード
 コラム(8) パリで初めてのガス灯を使ったオペラ座
 コラム(9) マネをとらえた海の輝き

4章-自身の絵筆を信じて(1874-1883★42-51歳)
 印象派の父と呼ばれながら──後輩画家モネの才能を見抜いたマネの審美眼
 私小説的肖像画──モデルの内面を赤裸々に暴くマネの筆
 コケティッシュな微笑──鑑賞者に投げかけるチャーミングなまなざし《ナナ》
 パリの肖像──19世紀の画家たちがカフェで見つめたもの
 かわいいだけじゃダメかしら-──女性たちに囲まれて過ごした最後の夏
 静物へのまなざし──永遠の命を宿したマネの描く静物画
 もっと知りたい(8) 画家をとりまく人物群像
 もっと知りたい(9) 画家たちのインスピレーションを刺激した──カフェ、カフェ・コンセール
 もっと知りたい(10) 都市生活者の享楽と哀愁──“近代絵画の創始者”最晩年の大作《フォリー=ベルジェールのバー》を読む
 コラム(10) 新たなマネ信者マラルメ
 コラム(11) マネが描いた移ろう“時間”
エピローグ-パリとともに生きた51年の日々
 ◆マネの晩年の愉しみ
 ◆日本におけるマネ

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著者プロフィール

高橋明也 著

1953年生まれ。東京藝術大学大学院美術研究修士課程修了。東京都美術館館長。国立西洋美術館学芸課長、三菱一号館美術館初代館長等を経て、2021年より現職。専門はフランス近代美術。1984~86年、オルセー美術館開館準備室に勤務。2010年にフランス芸術文化勲章シュヴァリエ受章。主な企画展覧会に「ドラクロワとフランス・ロマン主義」(1989年)、「1874年―パリ、〈第一回印象派展〉とその時代」(1994年)、「オルセー美術館展」(1996年、1999年、2006~07年)、「ジョルジュ・ド・ラトゥール―光と闇の世界」(2005年)、「コロー 光と追憶の変奏曲」(2008年)、「マネとモダン・パリ」(2010年)他。著書に『ゴーガン―野生の幻影を追い求めた芸術家の魂』(六耀社)、『もっと知りたいマネ』(東京美術)、『美術館の舞台裏―魅せる展覧会を作るには』(筑摩書房)、『新生オルセー美術館』(新潮社)他。