□14世紀から20世紀までの、西洋美術を知るうえで欠かせない画家53人をとりあげ、画家の作風や画歴、作品の見かたを、見開き単位で、読みやすくコンパクトにまとめた入門書。
□画家については残された言葉や風貌がわかる肖像画も入れて、多角的に紹介する。また技法の解説も充実しており、画家のこだわり、見どころ、美術史上注目される理由などが制作面・造形面から理解でき、鑑賞の際に参考となる。
□本書は2002年2月刊の『すぐわかる画家別西洋絵画の見かた』の巻頭に「キーワードで読み解く西洋絵画」、巻末に「3つのキーワードで読み解く西洋美術史」を増補し、改訂いたしました。

キーワードで読み解く西洋絵画
1：イコノロジー
2：アレゴリー
3：構図
4：画法
5：光と影
6：色彩
7：遠近法

ルネサンス　　14-16世紀　　人間復興の美術
ジオット：宗教画に自然主義的な描写を持ち込む
ファン・エイク：薄い溶き油で絵の具を重ね色彩効果を狙う
マザッチオ：平面上に初めて現実的な三次元空間を再現
ピエロ・デラ・フランチェスカ：幾何学的秩序に満ちた数学的な画面構成
ボッティチェルリ：線の効果を追求して新たなスタイルを築く
ボス：感情的な筆致でグロテスクな形態を描く
レオナルド・ダ・ヴィンチ：スフマートや空気遠近法を生み出す
デユーラー：稀有な描写力で事物のすべてを緻密に再現
ミケランジェロ：人体の内面世界をも描く力強い筆致と描写
ラファエロ：独創的な構図と人間味溢れる描写の妙
ティツィアーノ：筆さばきや絵の具の量で自由自在に表現
ブリューゲル：幻想的風景の中に人間の不安と欲望を描く
エル・グレコ：デフォルメされた形態と強烈な色彩感覚

バロック・ロココ　　17-18世紀　　華麗な装飾芸術
カラヴァッジォ：陰影の中に浮かび上がるレアリスム
ルーベンス：あらゆる主題を活気に満ちて生き生き描く
ベラスケス：勢いのある筆致で最大の効果をあげる才能
レンブラント：薄暗い光の中に人間の内面まで描き出す
フェルメール：美と静寂をも描き出す徹底した描写力
ヴァトー：細かい描写と道具立てで人生の哀歓を描く
フラゴナール：エロチックな描写に光る生命力と人間賛歌

ロマン主義から印象派へ　　19世紀　　光と色彩の表現
ゴヤ：歴史と人間の暗黒を描く暗いイメージ
フリードリヒ：色彩の微妙な濃淡で自然を細やかに表現
ターナー：光と大気を再現するために色彩と格闘
アングル：「線」に執着し人体の官能美を描く
ジエリコー：多くの素描や人形を使って綿密な構図作り
コロー：情感豊かな筆使いで田園風景を描く
ドラクロワ：人間の暗部を情感こめて描く色彩画家
ミレ一：大地と人間の崇高さを描く
クールベ：醜悪なほどに美しいレアリスムの極地
モロー：個性的な装飾性で神話的世界を描く
ロセッティ：装飾的で暗示に満ちた不可思議な世界
ミレイ：緻密な描写が生んだ人間味と温かさ
マネ：伝統絵画の構図と近代的手法の融合
ドガ：鋭敏な観察眼で線中心のデッサンを重ねる
セザンヌ：構図、色彩など絵画を「構造」で考える
モネ：光と色の揺らぎの印象を瞬間ごとに描く
ルノワール：薄塗りを繰り返して探り出す色彩の調和
ルソー：非現実的な光景の中のリアルなモチーフ
ゴーギャン：平坦な色彩と形態とを装飾的に配置
ゴッホ：形の単純化と色彩の大胆な組み合わせ
スーラ：色彩による点描と水平線の効果
クリムト：写実的な人物像と装飾的な背景の妙
ムンク：強烈な色彩の対比と筆致のうねり
ロートレック：生命感溢れる色彩感覚と描写力

現代美術　　20世紀　　抽象絵画の誕生
カンディンスキー：色彩のハーモニーに酔いしれる
マティス：色彩と形態の調和を追求した芸術家
モンドリアン：直線と色彩が描く無限のイメージの遊戯
ピカソ：さまざまなスタイルで描き芸術を変える
モディリアーニ：面長な顔立ちと物悲しい目に人間性が滲む
ミロ：記号とシンボルが紡ぎ出す叙情的な物語
マグリット：平凡な日常にひそむ「謎」を克明に描写する
ポロック：ドリッピングの技法が生み出す情熱的な抽象
ウォーホル：イメージの「繰り返し」にひそむ現代性

3つのキーワードで読み解く西洋美術史
ルネサンス：人間性の回復／遠近法／調和と均衡
バロック：明暗表現／劇的な演出／現実性
ロココ：優美／ゆるやかな曲線／軽やかな色彩
ロマン主義：感性の重視／豊かな色彩／テーマの多様性
印象派：戸外制作／感覚的な表現／筆触分割
モダン・アート：キュビスム／抽象主義／シュルレアリスム
絵画をめぐる事件・できごと：驚愕の盗難事件／世紀の大贋作事件は／ビックリ！名画の値段とは
過去からの影響：インスピレーション／模写・オマージュ