美術の日本近現代史
制度・言説・造型
- 価格
- 17,600円(税込)
- 刊行
- 2014年01月
- ISBN
- 9784808709839
- Cコード
- 3070
- 判型
- A5
内容
□美術史研究にあらたな次元を打ち立てた制度論的転回。その成果の集大成にして、次なるステージへの移行をうながす挑発の書。
□日本社会における美術の展開を、幕末から2010年代に至るなかで、制度論を軸に編纂した、美術の日本近現代史です。通史としては事典を兼ねた『日本近現代美術史事典』(東京書籍、2007年)に続く、専論による初めてのものです。構想15年の歳月をかけ、いよいよ刊行。
□日本の近現代美術に関心のある一般の読者から、学生、研究者の基礎資料として必読の書。
目次
総序 叙述と構成について [北澤憲昭]
第1章 「美術」前史 ― 1872年まで [鈴木廣之]
第1節 1850年代 ― 開国と文明の発見
第2節 1860年代 ― 日本美術論と洋学の成長
第3節 1868年以後 ― 「美術」の維新史
第2章 「美術」概念の形成期 ― 1870年代-1900年代初頭 [佐藤道信]
概説 「美術」の制度とその内実
第1節 「国家」と美術 ― 「美術」の制度的形成期
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 国家の美術 ― 「美術」に内実を与えるもの
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第3章 「美術」制度の拡張と表現主義の台頭 ― 1900年代-10年代[森仁史]
概説 文展と芸術 官展モダニズムと反官展モダニズム
第1節 文展をめぐる市場と観衆の形成
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 「美術」の近代化と制度的拡張
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第4章 制度の揺動と造型の実験 ― 1920年代-30年代前半
概説 アヴァンギャルドからプロレタリア美術へ ― 美術制度の揺動と改編 [滝沢恭司]
第1節 制度改編とアヴァンギャルドの消長
I 制度と社会 [滝沢恭司] II 言説とメディア [谷口英理] III造型 [喜夛孝臣]
第2節 プロレタリア美術の消長 ― 革命戦争のための美術 [足立元]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第5章 日本の支配下におけるアジアと南洋諸島の美術 ― 1872-1945年
概説 「日本美術」の領土と制度 [後小路雅弘]
第1節 日本占領下における台湾の美術 ― 1895-1945年 [顔娟英/池上貞子=訳]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 日本占領下における韓国の美術 ― 1910-45年 [金惠信]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第3節 満洲国の美術 ― 1932-45年 [崔在?]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第4節 東南アジアおよび南洋諸島の美術 [後小路雅弘]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第5節 沖縄の美術 ― 現在まで [小林純子]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第6章 戦時体制下の美術 ― 1930年代後半-50年代
概説 政治と美術 ― その関わりの諸相 [河田明久]
第1節 モダニズムの多様化 ― モダニズムの体制派と反体制派
I 制度と社会 [金子牧] II言説とメディア [迫内祐司] III造型 [佐河内雄二]
第2節 美術の総力戦体制から戦後革命へ ― 戦中と戦後をつらぬくもの [平瀬礼太]
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第7章 日本「現代美術」の成立と展開 ― 1945年-70年代前半 [光田由里]
概説 日本「現代美術」の成立と展開
第1節 「現代美術」の発生 ― 美術の55年体制(1945-54年)
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 「現代美術」の時代 ― 「反芸術」(1955-64年)
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第3節 「現代美術」の展開 ― 解体と転生(1965-74年)
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第8章 美術館の時代1970年代後半-90年代 [北澤憲昭]
概説 オルタナティヴと制度
第1節 美術の「保守革命」とニュー・ウェイヴ―70年代半ばから90年代初頭
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 ネオ・ポップの台頭九〇年代の「現代美術」
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第9章 「美術」の終焉 ― 1990年代-2010年代 [暮沢剛巳]
概説 ポストモダン以後 ― 90年代以降の美術
第1節 新たな現場と制度の形成 ― 1990年代
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
第2節 「美術」以後 ― 2000-10年代
I 制度と社会 II 言説とメディア III 造型
終章 ― 日本近現代美術の研究史と研究課題 [佐藤道信]
後記 [森仁史]
参考文献・日本近現代美術史年表・事項索引・人名索引
《コラム》
考古学と美術 [森仁史]
博覧会と博物館 [寺尾健一]
文化財保護 [佐藤道信]
美術商、コレクター [佐藤道信]
模写、複製、印刷 [佐藤道信]
銅像 [吉田朝子]
銅像の台座 [北澤憲昭]
額縁 [藤代知子]
美術史学 [太田智己]
美術全集 [太田智己]
美術と書 [高橋利郎]
いけばな [三頭谷鷹史]
茶道具 [依田徹]
盆栽 [依田徹]
風刺漫画の系譜 [足立元]
ファッションと美術 [蘆田裕史]
美術と著作権 [作田知樹]