派手な身なりに八の字ひげ、奇怪な言動にトリッキーなパフォーマンス…。
20世紀のアートシーンを賑わせたサルバドール・ダリ。お騒がせな天才画家の仮面の裏には、自身の人生に苦悩しながらも、愚直にキャンバスに向き合い続けた男のドラマが隠されていました。

本書では、熱心に学んだ画学生時代から、運命の女・ガラとの出会い、最盛期であるシュルレアリスム時代、新天地アメリカでの活躍、戦後に傾倒した神秘主義まで、豊富な図版と解説を交えながら、その生涯の軌跡を辿ります。
また、ピカソやマグリットなど同時代を彩ったスター画家たちとのエピソードも満載。知られざるダリの素顔を発見して、新たなる“ダリ・ワールド”が開けること必至です。

第１章 カタルーニャに生まれて
　ダリの原風景
　初期の自画像／家族の肖像
　模倣の時代
　もっと知りたい1：妹アナ・マリアへの偏愛
　もっと知りたい2：若き日の交友録

第２章 シュルレアリスムの時代
　記憶の因子
　ダブル・イメージ
　欲望のかたち
　巨匠へのオマージュと強迫観念
　無意識の領域
　【名品を読み解く】《記憶の固執》
　もっと知りたい3：ダリをめぐるシュルレアリストたち
　もっと知りたい4：ガラ──愛の始まり
　もっと知りたい5：細密画──ダリの真骨頂
　【名品を読み解く】《ナルシスの変貌》

第３章 アメリカに愛されて
　アメリカの夢
　戦争の暗雲
　崩壊、誕生
　性なる食卓
　神秘主義の萌芽
　もっと知りたい6：アメリカとダリ

第４章 スペインへの帰還─波乱の晩年
　幾何学的宗教画
　原子の時代
　解放
　永遠の命を求めて
　もっと知りたい7：進化する絵画技法 トリック・フォト／ステレオ・グラム
　もっと知りたい8：ガラ──愛の終焉
　【名品を読み解く】《ツバメの尾》
　ダリの足跡をたどる
　ダリに出会えるおもな美術館・施設（海外／国内）


コラム
　偏執狂的・批判的方法
　マグリットとダリ 類似と違い
　ミレーの《晩鐘》をめぐるゴッホとダリの接点
　ダリの採点
　ダリのオブジェ
　ダリの鏡

mini-column
　『わが秘められた生涯』
　17歳のナルシスト
　デペイズマン
　「シュルレアリスム」とは
　クレウス岬の奇岩
　ピカソの援助
　ボデゴン＝厨房画