著者プロフィール
山口県立萩美術館・浦上記念館は、萩市出身の実業家、浦上敏朗氏(1926〜2020)が浮世絵版画と東洋陶磁を中心とするコレクションを山口県に寄贈したことを契機として、平成8年(1996)に開館。現在、浮世絵版画は約5500点、東洋陶磁は約600点、近現代の陶芸・工芸は約800点を収蔵している。
本館は丹下健三・都市・建築設計研究所による設計。平成22年(2010)には萩焼をはじめ陶磁器を展示する施設として陶芸館が増設された。江戸の風情が残る白壁と、初夏に白い花を咲かせる夏みかんが印象的な城下町に隣接し、外国人向け旅行ガイド『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』で二つ星を獲得している。
昭和26年(1951)、名古屋市昭和区に生まれる。
25歳のとき1枚の浮世絵に感銘を受け、ジャズのサックスプレーヤーから浮世絵復刻の世界に足を踏み入れる。
現存している江戸時代の浮世絵は時間の経過と共に退色していることを知り、摺りたての生き生きとした江戸の色彩を甦らせるべく研究を開始。
絵具や道具、技法に至るまで独学で研究し、当時は分業だった下絵、彫、摺も全て一人でこなした。オリジナル版画ではさりげない風景や草花を描き独自の詩的な世界を作り上げた。
江戸の浮世絵を現代に甦らせた唯一の木版画家としてその業績は国内外から高く評価されており、令和1年(2019)には大英博物館に作品が永久保存された。
平成27年(2015)逝去。享年64。